はじめての資産形成

はじめての資産形成


マイホームの購入や子供の教育費、そして
定年後のセカンドライフなど人生に起きるさまざまなライフイベント。毎月の給料やボーナスですべてをまかなえればいいですが、年金でのセカンドライフ考えると少しでも多くの資産をもっておきたいものです。ところが低金利時代の現在は500万円を定期預金で1年間預けても利息が500円程度のため、銀行の預貯金で資産を増やすのは現実的ではありません。そこで将来を見すえてなるべく早めにスタートさせたいのが資産形成です。初心者必要な考え方や手はじめに何をしたらいいのか、ファイナンシャルプランナーの二宮清子さんに伺いました 

   

資産形成の基本姿勢は【少額・分散・長期】

資産形成というのは自分で働いて給料をもらうのとは違い、“お金に働いてもらう”ことです。このお金の働き先が「預貯金」「積立型保険」「金融商品(一般的には投資信託)」という資産運用で、コツコツと続けることで資産が形成されます。ここでは主に2つを挙げて説明します。

  

①自分の描く未来を実現するため

②将来の不安解消


「未来のための備え」になりますが、なぜ備える必要があるかというと、「資産が増えることで選択肢が増える」からです。困ったことがあってもお金で解決できたり、お金があるから「できる」こともあります。我慢を強いられるよりも心理的に幸せを感じやすくなるはずです。

そのためには少額からでも、なるべく早い時期から分散して資産形成をはじめることがおすすめです。

【5万円を運用できる場合】
1.預貯金…2万円
2.積立型保険…1万円
3.金融商品…2万円(iDeCo1万円、つみたてNISA1万円)

このような内訳で10年間資産運用すると元本は600万円になります。プラスして金融商品のリターンがありますが、変動するので金額は増減します。この増減の金額が分からないため、初心者は手を出しにくいのが実情だと思います。

   
ですが、金融庁の試算では10年間以上経てば、減ったとしても元本の金額を割りにくいとされています。上の例では600万円を下回ることはなく、600万円以上の金額のなかでリターンが増えたり減ったりするということです。

全く運用せず、毎月5万円を預貯金した場合は、600万円にプラスして数千円の利息のみです。投資信託は通常2~3%のリターンを想定した商品ですから、1万円以上はプラスになる可能性があります。

また、月5万円を運用できる余裕が家計にない場合は、家計簿をつけて支出を把握してムダがあれば見直す、もしくは収入を増やすしかありません。家計簿をつけた場合は、そこで節約意識が働いて家計がスリム化する場合もあるので一石二鳥と考えましょう。

   

資産形成のメリットとは?

お金をためるのはとても時間がかかります。コツコツとためて備えることでしか、「教育・住宅・老後」という人生における三大不安要素を解消することはできません。

そのためには「いつまでに」「いくらためておく」ことを考えることが第一歩。おすすめの資産運用のはじめ時は30代に入ったころ、結婚をしたり子供をもうけたりした時です。お金は家族を幸せに導く手段のひとつなので、計画的にお金をためることは将来のさまざまな備えに直結します。

資産運用をスタートさせると株価や金利、為替など経済を知ろうという心理が働きます。すると情報をキャッチしやすくなり、おのずと金融に明るく、視野も広がっていきます。最初から分かる人はいません。金融商品は「まずやってみる」という学びながらはじめる姿勢が大事になります。

そうすることで「未来の自分に希望を持てるようになる」という最大のメリットを享受することができるはずです。年金だけでは生活が難しいという現実に直面しても、早くから金融商品で資産形成をしていれば配当金が入ってきます。

年金だけで貯金を切り崩していく生活よりも、1年に1回や2回でも配当金の収入があれば心理的な負担が減ります。配当金が年間10万円であれば、このお金は旅行代金に充てられますから、人生の楽しみも増えることになります。

   

初心者はなにから資産運用をスタートさせる?

初心者にとってハードルが高いのはどの金融機関を選んで口座を開けばいいのか、情報を集めて、考えて、行動することだと思います。ですが、資産運用に関して相談できる場所は身近にたくさんあります。それは郵便局、口座を持っている銀行です。資産形成初心者は、まずは地元の行き慣れた金融機関の窓口で相談しましょう。資産運用というと証券会社を思い浮かべがちですが、資産運用に慣れて少しわかってからのタイミングがおすすめです。

買うべき金融商品は、国が絡んでいて商品が吟味されて売られ、手数料が抑えられて節税効果が高いiDeCoやつみたてNISAです。つみたてNISAの場合、手数料が安く、利益が出た場合の税金が非課税のため、普通に投資信託を買うよりお得です。iDeCoの場合は、さらに所得控除もあるので損が出たとしてもそれらで損失をカバーすることもできます。

金融商品というと証券会社のイメージがありますが、初心者にはハードルが高いのは事実。私自身、最初に資産運用するのが怖くて銀行の投資信託からはじめました。証券会社で口座を開いたのは、FPの勉強をはじめてからです。

自分の経験からもいえるのですが、資産運用は長期戦です。数年で結果が出ないからと止めるのは損で、結果を見るには少なくとも10年間を考えておきましょう。現在(2019年11月現在)はマーケット状況が良いため利益が出やすいかもしれませんが、大波小波と上がれば下がり、下がれば上がるものと心して10年間続けてみてください。

そのためにも、年末年始に「給料から貯蓄分」をとり「残りで生活する」先取り貯蓄のための家計見直しを。そして、来年からあなたの将来のためにも資産運用をスタートさせてみましょう。

    

二宮清子さん

家庭科教師時代に「家計管理」を生徒に教えていた経歴がありながらも、主婦時代に赤字家計に転落した経験から「お金の大切さ」を痛感してファイナンシャルプランナーに。『ALL About』で家計簿・家計管理ガイドとしても活躍中。