1年間に100万円をためるための生活見直し術
消費税が10%に上がって数ヵ月が経ちました。食品や飲料は8%の軽減税率が適用されているとはいえ、日用品やカフェでのコーヒー1杯など、日常のちょっとした支出がこれまで以上の負担に。長年続いているデフレにより収入が伸び悩み、さらに物価が上がり続けているなかで、子供の進学や老後の備えのためにどのように貯蓄をするのか? 最初に思いつくのは「節約」ですが、これまでの生活を改めると逆にストレスがたまって、結局散財して失敗することも…。
1年間で100万円貯蓄するには『1ヵ月5万円×12ヵ月+夏冬のボーナスをあわせて40万円』になります。そのための日々の出費の無駄を見直し家計を引き締め、“貯蓄上手”になるための知恵をお教えします!
支出を把握するために家計簿をつける
昇進や副業などで収入を増やすことができれば貯蓄は簡単ですが、なかなか難しいもの。そこで、まず行うのは、支出の見直しです。「毎月」「何に」「いくら」出費しているか把握することが重要になりますので、そのために家計簿をつけて、支出の全体像を把握しましょう。
家計簿と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、いまは書き込みやすく工夫されたものが売られていたり、インターネットやアプリから無料で使えたりします。まずは自分の性格にあう家計簿を手に入れましょう。家計簿を1年つければ、毎月の支出額がわかるだけでなく、支出が多い項目や多い月を把握することができます。
家計簿をつける前に知っておきたいのは、「項目ごとの平均支出を知る」ことです。例えば、生活費の中心となる食費は一世帯あたり1ヵ月平均6万2819円※です。平均と自分の支出額を比較することで、「使いすぎ」か「適正」の判断基準になります。平均支出額より自分が「使いすぎ」の項目は、「無駄が多い」ことになります。
※総務省「家計調査」2018年/一世帯の平均は2.33人
そして食費は、無駄な支出として挙げられやすく、また日々意識することで支出を減らしやすい代表格なのです。外食の回数を減らし、外出先で頻繁に飲料を買うのをやめるのは基本です。さらに、お買い得品や閉店間際の値引き品など、余分に食べ物を買うと逆に出費が増えることに…。余分な食事で体型が変化すれば洋服の買い替えも必要になるので、気をつけたいところです。
また、一定金額以上の購入が求められる食材宅配サービスの材料を使いきれないことが、頻繁にありませんか?購入したものを使い切れないのは必要以上に買っている。つまり、無駄ということです。
日々快適な生活を送るためのサービスは多種多様ですが、うまく活用できていないのに惰性で購入を続けるのは無駄な出費です。
キャンペーンでおトクに入会したスポーツクラブや英会話スクール、スマートフォンの契約、複数の動画配信サービスも見直し対象です。継続するか考えるためにも、家計簿をつけて出費全体を把握するようにしましょう。
家を整理整頓して無駄を見つけましょう
自宅は、必要なものをすぐに取り出せる環境でしょうか?
もし、どこに何があるか分からなかったり、買ったものが後に「あら、同じものがあったわ。」ということがあるならば、家の整理整頓を始めましょう。必要なものをすぐに取り出せる環境を整えると、探すストレスがなくなり、同じものを重複して買う無駄がなくなります。
例えば、玄関のたたきに靴がズラリと並んでいたら、靴箱の見直しを。しまったままの靴は、もう「履かない」のかもしれません。手持ちの服とあわず出番がなくなった靴もあるでしょう。傘も必要以上に持っている場合は捨てて、余計なものが表に出ていない玄関にしたほうが家の出入りもスムーズにできます。
キッチンも整理対象です。戸棚に使わない鍋や保存容器、食器はありませんか? 引き出しの中の細かいキッチンツールは整理されていますか?賞味期限切れの調味料や乾物などはありませんか?
持っているものを把握できずにいると、つい「特売だから」とか、100円ショップで見かけて「便利そう」と買ってしまいます。
鍋やキッチンツール、調味料類はすべて取り出して、よく使うツールなのか、賞味期限は切れていないか、確認をしてみましょう。そして、ゴミ袋やキッチンペーパーなどの備品、キッチンツール、食材、調味料などグループ分けして置き場所を決め、よく使うものを前面に出すなど、収納の工夫をしましょう。そして、出したら戻すことを習慣化することが大切です。
ものが増えて収納場所からはみ出ると、見た目が乱雑になり、どこに何があるのが把握しきれません。ダイニングもクローゼットも同じことです。ダイニングであればよく使うテレビやビデオのリモコンは同じ場所に収納する。洋服もよく着る“一軍”は取り出しやすい場所へ。着ていない服は、整理の時に着て、いまの時代や年齢に見合っているか確認し、思い切って処分して服の全体量を減らすことも必要になります。
モノはいま、100円ショップやファストファッション店で安価に買えて、代わりもたくさんあります。「どこに」「何がある」かを自分で把握できず、「同じものを買ってしまう」ことを避けるためにも、家の整理整頓は100万円をためるための基本となります。
ボーナスの使い道を考えて家計見直し
無駄な支出を減らすと同時に、「家の金融資産」も把握しましょう。預貯金や生命保険だけでなく、住宅や車のローンというマイナス資産も忘れてはいけません。というのも、貯蓄額を上回る住宅ローンがあれば、資産はマイナス。ローンや株式・投資信託、生命保険に毎月いくら支払っているか把握することが肝心です。
なかでも住宅ローンは、教育費と重なる世代であるほどしっかり考えなければ夫婦の老後資金にも影響します。3年後、5年後、10年後のライフプランのためにも、資産の洗い出しは必要になるので、少なくとも半年に1度は行いましょう。
そのうえで、考えなければいけないのがボーナスの使い道です。景気の影響を受けるボーナスでの支払いをアテにしていると、思わぬ落とし穴に陥ることも。会社の業績が悪く支給額が減り、預貯金を削って支払いに充てるようなことになれば1年間で100万円は貯蓄できません。
とくに、家電の買い替えや車の購入、旅行など高額になる費用だけでなく、車の税金や車検代などをボーナス払いで考えている場合は要注意です。年に1回や数回発生する車の税金・保険料・車検代・固定資産税などは、月の家計から少しずつためるのが賢い方法。ボーナスは全額を貯蓄や資産形成に回すと考えて、ボーナスに頼らない生活ができるように月々の支出をコントロールしましょう。
また、ボーナスを貯蓄以外に使うときは、計画を立てるように心がけましょう。「今年は家電を買い替える」「家族で海外旅行に行く」などの目的があれば、早めに準備をして必要な予算以外は貯蓄に回します。とくに、旅行は早めに計画することで交通機関の「早割」で交通費を安く抑えることができます。
ボーナスから貯蓄に回せる金額が多くなるほど、年間の貯蓄額が増えて、1年間で100万円ためる近道となります。