「夏のダメージを残さない! オトナの女性の艶髪づくり」

「夏のダメージを残さない! オトナの女性の艶髪づくり」

令和になって初めての梅雨は、例年になく長く続きました。しかし梅雨明けしたら一転、まぶしい夏空になり、日差しの厳しさを感じるようになりました。それは、髪にとっても強いダメージを与えることになります。そこで真夏でも健康で美しい髪を保つため、また紫外線によってダメージを受けた髪のメンテナンスなど、美髪アドバイザーとして講演やテレビ出演、雑誌、WEBメディアで活躍中の田村マナさんに伺いました。
 
 

 

健康で美しい「艶髪」って、どんな髪

人の印象は、実は顔・体型・メイク・ファッションなどよりも、髪が一番残るんです。とくに印象に影響する髪の比重は、年齢を重ねるほど大きくなります。なぜなら髪はエイジング・ケアがダイレクトに目に見える形で現れるからです。

 

どんなにおしゃれをして、きちんとメイクをしても、髪がボサボサだったりパサついていたりしたら、老けた印象が強くなります。大人の女性の「品」や「かわいげ」、「美しさ」は髪によって醸し出されます。だから自分の髪と向き合い、しっかり手をかけてあげるのは、大人の女性のマナーといっても過言ではありません。

 

そして、手をかけた分だけ、結果として返ってくるのが髪のいいところです。髪は決して裏切らないのです。

 

では、大人の女性が美しくあるために必要な「艶髪」とは、どんなものでしょう?

 

艶髪の条件

・光が当たったときに反射して白く輝く。

・キューティクルが一定方向にそろっている。

・さわるとなめらかで、ゴワゴワすることがない。

 

こうした特徴を持つ髪が、「艶髪」と言えます。

 

簡単にできる、「艶髪」チェック法

 

  1. 抜け毛を使って…抜けた髪を1本、両手でつまんで左右にギュッと引っ張ります。すぐにプチッと切れたら、艶髪度は低いと言えます。
  2. 髪が濡れているときに…10本ぐらいの髪を手に取り、人差し指にグルグルと巻き付けて10秒。バッと離したときに、するりと元の状態に戻るかチェック。指に巻き付いたままだったり、からまってしまったりしたら、艶髪度は低いと言えます。

 


 

ダメージを受けた髪もブラッシング次第で艶髪に

髪の艶は本来、誰にでも備わっています。例えばカラーリングしていたり、白髪で艶が失われていたりしたとしても、ブラッシングで艶を引き出すことはできます。そのためにはまず、1日最低2回のブラッシングを習慣にしてほしいと思います。

 

何故ヘアケアのなかでも、とくにブラッシングを重要視するのでしょうか? 

それはブラッシングこそ、マルチな働きをする万能ツールだからです。

 

ブラッシングの15の効能

・毛穴に詰まった皮脂を浮かす。

・頭皮の古い角質を浮かせ、汚れを落とす。

・髪のほこりや花粉をはらう。

・髪のキューティクルを整え、艶を出す。

・頭の毛のからまりを取る。

・頭皮のコリをほぐしてマッサージ。

・頭皮のかゆみを抑える。

・毛穴の皮脂をトリートメント剤に変える。

・頭皮をリフトアップして小顔効果。

・毛穴のゆがみを矯正してうねり毛を防止。

・栄養を行き渡らせて白髪を防止。

・血行を促進して抜け毛を防止。

・キューティクルを閉じてカラーをキープ。

・貧相な髪のボリュームアップ効果。

・広がる毛のボリュームダウン効果。

 

夜と朝ではブラッシングの目的が違う

 

 一日のなかでも、夜に行うブラッシングの目的は汚れを浮かしてシャンプーや湯なじみをよくするためのもの。そのため、するとしないでは雲泥の差です! ブラシは先端に丸いボールがついているものがおすすめです。地肌を傷つけず、毛穴につまった余分な皮脂も除去できます。

 

一方、朝のブラッシングをしっかりと行うと、スタイリング剤を使わなくても美しい自然な艶が生まれ、まとまりもよくなります。ブラシは天然毛がおすすめです。静電気が起こりにくく、開いていたキューティクルが閉じて、しっとりとした髪本来の艶が生まれます。

 

髪の毛の細い人やロングヘアの人、髪にダメージがある人などは髪がからまってしまうこともあります。そのような場合はブラッシングの前にオイルを少量仕込むことをおすすめします。しっとりタイプよりさらさら系のオイルを使いましょう。揮発性があるシリコン配合のオイルなら、髪表面をコーティングして、シルクのようなサラサラな髪に。また、オイルのコーティングで紫外線や大気汚染から髪を守ります。

 

ドライヤーのかけ方で劇的に艶とボリュームが変わる

「髪を洗ったらすぐにドライヤーすべき」という情報が流れていても、なかなか「すぐドライヤー」を実践できない方もいます。とくに夏は、ドライヤーの熱風がより熱く感じますが、それでも「ドライヤーはバスルームから上がったらすぐ」が鉄則です。なぜなら髪は濡れた状態のとき、キューティクルが開いているからです。そのまま放置すると、水分や栄養が抜け出し、パサついてうねりも強くなり、寝ぐせもつきやすくなって、翌朝のスタイリングにも悪影響を及ぼします。

 

さらには濡れたまま時間が経つと、雑菌が増えやすくなり、白髪や抜け毛の原因にもなりかねないのです。

 

ドライヤーで髪を乾かすときは、根元から中間、そして毛先へとキューティクルの向きに風を与えます。そうすることでキューティクルが自然と閉じやすくなります。

 

さらに、仕上げるときには冷風を使えば、キューティクルが閉じて艶が出るコツです。

 

艶髪を作るためのドライヤーのかけ方 3つのポイント

  1. 指で地肌から髪をすくって、約20㎝離れたところからドライヤーの風を地肌に直角に当てる。
  2. 指を熊手のようにして髪をひっぱりながら髪を上から下に向かって軽く伸ばす。
  3. 仕上げは手のひらで表面をコーティングするように押さえて、上から下に向かって冷風を当てる。

 

夏だからこそ、気をつけたいシャンプー選びと洗い方

「毎日シャンプーをするのは洗いすぎ?」とはよくある疑問です。でも、まず忘れてはいけないのは、シャンプーは汚れを落とすためだけに行うものではないということです。

 

もともと「シャンプー」とはヒンディ語で「マッサージ」を意味し、血行を促す効果がとても高いものです。シャンプーを通じて毛根や頭皮に加わる刺激は、髪のエイジング・ケアが気になる世代にとって欠かせないこと。

 

また、夏は汗をかくので一日2回、冬はあまり汚れていないので23日に1回しか洗わないという人もいるようですが、これはまったく意味がありません。冬こそ寒さで皮脂が固まり毛穴をふさぐので、毎日シャンプーをして毛穴を清潔にした方が髪のためになります。そして夏は汗をかきますが、頭皮ケアという意味では洗いすぎに注意すべき時期です。

 

シャンプーは頭皮の汚れを落とすもの! 決定版テクニック

 

  1. まずは丁寧にブラッシングした後、お湯で1~2分かけてしっかり洗います。
  2. 次にシャンプー剤を同量の水でゆるめて全体になじませます。指の腹を使って下から上へ小刻みにさすり、メイクをクレンジングで浮かせるぐらいのソフトタッチで洗います。
  3. 頭頂部に向かって指の腹で皮膚と皮膚を寄せ、力加減は手の甲の皮膚がややよれる程度で皮脂をしぼり出すようにもみます。こすると肌にダメージを与えるので注意しましょう。

 

シャンプーは頭皮の状態にあわせて選ぶのが一番です。地肌が乾燥しているのか、角質がたまっているのか、皮脂が残ったままなのかを見極めましょう。また、カラーリングをしている人は色が落ちにくく、ダメージをカバーできるものを選びましょう。

 

また、オーガニックシャンプーが人気ですが、決してオーガニック=肌に優しいわけではありません。オーガニック=有機栽培のことで、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料で栽培する農薬のことを指します。環境に優しいとは言えますが、肌質に優しいかどうかは別問題です。オーガニックなら何でもOKとは考えず、お店の人に聞いたり、成分表示をチェックしたりして選びましょう。


 

食事の摂り方で、艶髪は作られる

しっかりヘアケアをしても効果が出る人、なかなか出ない人がいますが、その差は日ごろの食生活にもあります。たとえば薄毛などで悩んでいる人は多くの場合、食生活が乱れていたり、偏った食事をしたりしていることが多いようです。

 

健康な髪の毛を作るには、栄養が重要な要素のひとつです。髪を作る材料やエネルギーが不足していれば、きれいな髪は育ちません。

 

髪質を良くするために不可欠な3大美髪フードは、ひとつめがタンパク質。ふたつめがミネラル。そして最後は発酵食品です。

 

最近、よく耳にするのが朝はスムージーだけとか、〇〇健康法で〇〇しか食べないといった極端な食生活。これは絶対にNGです。たとえば牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類や卵、牛乳といった動物性タンパク質や豆類などの植物性タンパク質をバランス良く、毎日たっぷりと摂ることが大切です。大豆の水煮、ゆで卵やイワシやサバなどの魚缶などに、ナッツ類や納豆などを足すのもいいでしょう。

 

ミネラルを補うには、ブラックフード。たとえば、海苔、プルーン、ひじき、ワカメ、塩昆布など。さらに、発酵食品としておすすめなのは甘酒、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、飲むお酢などです。こうした発酵食品を摂ると、腸内細菌のバランスも取れて、髪だけでなく肌にも、さらには全身の健康にとっても大きなプラスになるはずです。

このように髪に気を使うことは、全身のケアにもつながっていきます。夏のダメージに負けない髪と身体を作っていきましょう。

田村マナさん

美髪アドバイザー、毛髪診断士、スカルプケアリスト。国際線のCA時代、機内の過酷な環境による髪のトラブルに悩み、同僚とオリジナル化粧品を開発。その経験を元に現在は美容メソッドの情報発信や商品開発など幅広く活動中。