保険はこのままでいいの?早めに見直し、将来の安心を!
家族が病気を患ったり、突然の事故に遭ったりといった不測の事態に備えて、加入している人も多いのが医療保険や生命保険。“もしも”のときの安心のため、毎月数千円~数万円の掛け金を保険会社に支払っている人が多いかもしれません。なかには複数の保険に加入している場合もあるでしょう。でもその保険は、果たしていまのライフステージで必要でしょうか? 安心を買っているつもりでも、保険料が家計を圧迫する原因になっているかもしれません。そこで、本当に必要な保険の考え方をファイナンシャルプランナーの二宮清子さんに教えていただきましょう。
保険を見直す必要性とメリット
保険の見直しを考える前提として、「家計とのバランスをとりながら過不足なく保障を整える」ことがあります。というのも、加入している保険が多く保険料の払い過ぎで家計を圧迫していたり、その逆に、加入している保険が少なく必要なときに頼りにならなかったりするケースが意外と多いのです。
ほかによくあるのが、「しがらみや惰性で加入している」ケースです。代表的なのは人付き合いの一環ですが、営業を受けたときに「みなさん、このくらい加入していますから」と言われて、自分に必要かどうか考える前に加入する場合も多いのです。独身時代に加入したまま、結婚後も見直してない方も多く見受けられます。
そんな風に提案されるがまま保険に加入していると、年齢に見合わない内容の可能性もあります。
例えば、医療保険の場合は若くて独身であれば『入院時月額5,000円』程度でも十分のはずが、『死亡保障1,000万円の掛け捨て』に加入している話もよく耳にします。掛け捨ては保険料が安いですが、役に立つ機会がなければ無駄な支出です。また、会社員であれば傷病手当金もありますから、会社の福利厚生の内容を知っていれば、若いころはそこまで医療保険が必要でない場合もあります。
このように「過分になった保険」を見直すことで、まず毎月支払う保険料が安くなり、さらにどんな保障内容が現在の自分に適しているか取捨選択することで保障も整います。これが保険見直しのメリットでしょう。
保険を見直すポイントとは?
ファイナンシャルプランナーに気軽に相談できる場所も増えています。そこで内容をよく理解するためにも、次の5つのポイントを覚えておきましょう。
ポイント① 必要保障額を知る
家計を支えている方が亡くなった後の生活に必要なお金を試算しましょう。その際は、国からの遺族年金、家や自身の預貯金、これから働いて得るお金など収入と今後の生活に関わるすべての支払い。「収入―支出」の差額が必要保障額になります。
ポイント② シンプルで分かりやすい
どの種類の保険に、毎月どのくらい支払っているのかわからないのでは、見直しても意味がありません。もともと約款は理解しにくいうえに、なかには覚えきれないほど特約がついていたりします。自分が入っている保険の内容をスラスラ言えるくらいシンプルな方が好ましいです。
ポイント③ 支払い続けられること
高い保険料を支払っていたのに、仕事を辞めて支払えずに失効することもよくあります。せっかく払い続けてもいざというときに使えないのでは、まったく意味がありません。長期に渡り支払う保険料は、収入が少ないときでも支払える金額が好ましいです。
手取り20万円の場合は8,000円、手取り30万円の場合は24,000円と、収入の4〜8%程度を目安とすると良いでしょう。また、金銭的に余裕があるときに、まとまった金額を前納しておくこともおすすめします。
ポイント④ 資産形成に役立つこと
保険は積立型を選ぶこと。現金(治療費は先に支払うので必要です)+保険のダブルで病気やケガに備えるということです。例えば、現在5万円を貯蓄していいたら、2万円を保険に回して資産形成をしてください。
ポイント⑤ 若くて健康なうちに加入する
40歳を超えると新規加入希望者の3割くらいが入れないという話もあります。もしくは、保障が狭まったり毎月の保険料が高くなったりします。せっかく見直しても新しい保険に入れないこともあるので、なるべく若いうちの加入や見直しがおすすめです。
保険を見直すタイミングはココ!
保険はライフステージが変わる度に、必要なものと不必要なものを選択して見直していきましょう。
タイミング① 結婚
いまはほとんど共働きなので、死亡保障はあまり必要ないと思います。ただ、子どもが生まれたら扶養のために必要でしょう。妊娠が判明した時点で、家計を支えている方に3,000~4,000万円の死亡保障をつけると安心です。
タイミング② マイホームの購入
住宅ローンを夫名義で団体信用生命保険から借りれば、亡くなった時点で返済義務がなくなります。そうなると死亡保障の金額を考え直すことができます。掛け金も変わってくるので、家計全体を大きく見直すことができます。
タイミング③ 子供の中学入学時
個人差はありますが、だいたい40代くらいかと思いますので、今後の働き方を考える時期と重なる場合もあるでしょう。子供の中学受験で支出が増える場合もありますが、一般的には収入が増える年代です。思い切って老後の資金のために、個人年金など積立型に切り替えることを考えてもいいでしょう。
タイミング④ 子供の自立
子供が社会人になったら、死亡保障は不要です。葬儀代が準備できて、ある程度の現金の貯蓄があればいいでしょう。保険料で支払っていたお金を使って好きなことをするなど、人生を豊かに過ごすために役立てても良いでしょう。
病気やケガに保険でどう備えるかは、それぞれの考え次第です。なかでも医療保険は、治療方法の進化が早いことと、現在と将来に必要とされる内容が変わるため、人生の節目ごとのタイミングで、家計や年齢などとあわせて検討していくことが、賢い使い方になります。
二宮清子さん
家庭科教師時代に「家計管理」を生徒に教えていた経歴がありながら、主婦時代に赤字家計に転落した経験から「お金の大切さ」を痛感してファイナンシャルプランナーに。『ALL About』で家計簿・家計管理ガイドとしても活躍中。