シーンごとに使い分けて、賢いキャッシュレスライフを!
世界的に見るとキャッシュレス決済の傾向は進んでいて、むしろ日本が遅れていると言われていました。
ところが、最近はそんな状況が変わり始めています。1年後に迫ったオリンピック開催で海外からの観戦客が増えることを踏まえ、キャッシュレス決済に対応する店舗などが増えていると言います。
そこで今回は、日本でも今後ますます成長していくと思われるキャッシュレス決済について、ファイナンシャルプランナーの二宮清子さんに教えてもらいます。
そもそもキャッシュレス決済って、なに?
キャッシュレス決済とは、文字どおり「現金を使わない」決済方法のことで、大きく分けて3通りあります。
まずは前払い決済方式の「プリペイド」。次に即時決済方式の「リアルタイム」。そして後払い決済方式の「ポストペイ」です。
この3通りについて具体的に言うと、一番馴染みがあるのは「ポストペイ」ではないでしょうか。こちらにはクレジットカードが該当します。皆さんが愛用されている「JCB LINDA」や「JCB CARD W plus L」もそうですね。
●キャッシュレス決済方法の種類
1)前払い決済方式「プリペイド」
主なサービス例:電子マネー
特徴:事前に現金をチャージしておく必要がある。
主な決済銘柄:Suica・Pasmoなどの交通系ICカード、Edy・WAON・nanacoなどの流通系ICカード、LINE Payなど
2)即時決済方式「リアルタイム」
主なサービス例:デビッドカード
特徴:銀行口座と紐づけておくことで、使ったその場で引き落とされる。
主な決済銘柄:銀行系デビッドカード、クレジット会社系デビッドカードなど
3)後払い決済方式「ポストペイ」
主なサービス例:クレジットカード
特徴:支払いを先延ばしできる。分割払いやボーナス払いも可能。
主な決済銘柄:各種クレジットカード
これらを組み合わせて使うことが、賢いキャッシュレスライフにつながっていくと思います。
では、どう組み合わせれば良いか? わかりやすいのは用途別で考えることです。というのも前述の3つの決済方式では、利用限度額が異なります。例えば「プリペイド」のSuicaは上限2万円、nanacoは上限5万円と、現金チャージ額に上限が設定されています。
これに対して「ポストペイ」のクレジットカードは、ある程度高額なものまで対応できますよね。そして「リアルタイム」のデビッドカードは、紐づけた預金口座の残高そのものが利用限度額となります。
なので、お買い物の仕方や内容によって、使用する決済方法を考える必要があるのです。
賢いキャッシュレスライフのための選び方
決済方法が3通りに分かれるキャッシュレス。これを賢く使っていくためにはどうすれば良いでしょうか? ポイントは3つです。
1)利用頻度が高いところでの使いやすさ
2)ポイントのためやすさ
3)ためたポイントの使いやすさ
これを考慮したうえで、あまり種類を持たないことが大切です。例えば、交通系、スーパーマーケット系とドラッグストア系を各1枚という具合。自分の生活圏で利用頻度の多いものを選ぶことがポイントです。
例えば私の場合、ドラッグストア1枚、スーパーマーケット2枚、それぞれ「プリペイド」を使っています。それぞれのカードに毎月2万円ずつチャージする。合計6万円で1ヵ月の食材や雑費を賄うということを考えています。
こうやって「プリペイド」を使うと家計の管理にも繋がるということです。月々の予算管理がしやすくなるというのはキャッシュレスのメリットだと思います。
ただメリットがあれば、デメリットもあるもの。例えば「オートチャージ機能」を使うと手間は省けますが、利用額がわかりにくくなるんです。レシートを受け取るなど、しっかり管理するようにしましょう。
上手に使えば、オカネを増やすこともできる?
キャッシュレス決済を上手に使うことで、予算管理がしやすくなるとお伝えしました。そうなると節約、そして貯蓄へとつながっていきますよね。加えてもうひとつおトクなことがあります。それは「ポイント」をためやすくなるということです。
いまの時代、銀行に預けてオカネを増やすより、使うことで増やすことを考えるのも大事。うまく「ポイント」をためていけば、月々で決めた予算以上の価値を生むこともあります。
例えばスーパーマーケットの「プリペイド」カードに、「ポストペイ」のクレジットカードでチャージすれば、両方の「ポイント」をためることができますよね。これが「使うことでオカネを増やす」ということ。だから効率よく「ポイント」をためるために、普段から使うカードを集中させておいたほうが良いのです。
冒頭に「交通系、スーパーマーケット系、ドラッグストア系など用途ごとに1枚」持つことをおすすめしました。それらのチャージを1枚のクレジットカードで行えば、それだけポイントも集めやすくなります。
また、この「ポイントをためやすい」という視点で選んでも良いかもしれません。つまり、「使用できる店舗が多い」ことが判断基準のひとつになるということです。「ポイントをためやすい」ということは、逆に言えば「ポイントを使いやすい」ということにもなります。利便性の高さは重要ですよね。
と、ここまで読んでお気づきかもしれませんが、結果的にはクレジットカードがあれば、キャッシュレスライフを十分に活用することができます。そこから先は「毎日電車に乗る」とか、「インターネット通販を利用することが多い」とか、皆さんのライフスタイルにあわせて、使いやすく、ためやすいものを選んでいけば良いのではないでしょうか。
二宮清子さん
家庭科教師時代に「家計管理」を生徒に教えていた経歴がありながらも、主婦時代に赤字家計に転落した経験から「お金の大切さ」を痛感してファイナンシャルプランナーに。『ALL About』で家計簿・家計管理ガイドとしても活躍中。